工房作品 二〇一四 


皇紀2674年、玉作 工人は完全に黄泉がえりました。
昨年一年間、新たなご縁により多くの方々に支えられ、助けられ
わたくしの玉作、攻玉技能は完全に復活しました。道具立ても完璧です。

本年も奴奈川の原風景、そして我が国の美しい自然、文化、歴史を守りつつ
「玉作」という日本文化の源流を守り続けて行く所存です。

大神神社、奴奈川神社、貫前神社の御札に護られながら
匠の手仕事のみで魂を入れ込まれた作品をどうぞご覧ください。





一、奴奈川黒色石英(水晶)獣形大勾玉
「三輪乃荒魂」
(みわのあらみたま)
[全長56.5ミリ 最大幅16.6ミリ]

奴奈川の黒色石英(水晶)岩塊より祭祀用大勾玉を砥ぎ出しました。
その形は奈良、伊勢地方独特の獣形特殊形状。
目に見えない大巫女の「威」により生まれし神の勾玉でございます。


  


二、奴奈川硬玉大勾玉
「山添の神威」
(やまぞえのかむい)
[全長48.0ミリ 最大幅17.7ミリ]

奴奈川の清流である小滝川。その身に緑、白、黒を持ち、非常に大きな力を持つ
硬玉から持たれる方の「威」に従い砥ぎ出したる出雲男神の大勾玉。
その荒々しい姿はいにしえの我が国を駆けた武人の魂でございます。
宮城県、H様所有
  
いただいたご評価とご感想魂
(掲載ご了解済です)

初めて実際に玉を目にした時、これは魂鎮めの玉であると強く感じました。
玉そのものが厄災を弾くのではなく、
自分の内側にある力を鍛えて戦う力をつけてくれる玉だと思います。

現世(生命力)の象徴である鮮烈な緑色と、幽世(魂)の象徴である漆黒とが複雑に入り交じり、
相反すれども紙一重で繋がっている2つの世界を象徴するその姿に、
幾多の死線を乗り越え、あらゆる事態に動じない、巌のように鎮まった武人の魂を感じます。
まさに日本神話における出雲神のお姿ですね。

私のようなちっぽけな人間には到底そんな生き方はできませんが、困難にぶつかった時に、
玉に宿る武人の姿を感じながらせめて自分なりに乗り越えていけるようになりたいと思います。


大変ありがとうございます。
奴奈川の玉匠として今後も精進いたします。

「風雨同舟 迎接挑戦」
玉作 工人  拝







三、奴奈川硬玉獣型勾玉★
「沼川乃梟神威」
(ぬまかはのこたんころかむい)
[全長45.0ミリ 最大幅11.4ミリ]

奴奈川硬玉より縄文の獣形勾玉を古式に則り砥ぎ出しました。
数千年前の先達が生みし「技」がその後の玉文化に非常に大きな
影響を与えた事が実際の攻玉を通して良く判ります。

首長の胸に輝き、村と民を守る奴奈川の大いなる「神威」
その血脈は滔々と今も流れ続けているのです。


  


  






四、奴奈川石英混軟玉丁子勾玉
(ブロッドストーン)
「神天穂日尊」
(かむあめのほひのみこと)
[全長40.5ミリ 最大幅15.8ミリ]

奴奈川の石英混軟玉より砥ぎ出した古式神玉。
深い藍色に水色の流水紋が流れ、そこに鉄石英の赤い流れが加わり
あたかも宇宙から見た地球の如く煌きます。
この玉は通常光では青く、強い光の下では緑に透過します。

  




五、奴奈川鉄石英環状曲玉
(ゆぶ石)

「神狭依比売」
(かむさよりびめ)
[全長38.4ミリ 最大幅14.8ミリ]

奴奈川の鉄石英より生まれし流麗な環状異型曲玉。
この形状が後の
「さる玉」に発展します。

鉄石英の中でも多重鉱物の織りなす文様を持つ物は極めて少なく、
この玉に至ってはその肌の中に銀色に輝く自然鉄をも持っています。
絹の肌を持つ古式奴奈川の神玉です。


  




六、奴奈川青硬玉禽獣魚型大勾玉

「神御穂須須美尊」
(かむみほすすみのみこと)
[全長59.0ミリ 最大幅17.1ミリ]

奴奈川の小滝川支流より生まれし青硬玉を持たれる方の「威」に従い
攻め込んだ古式奴奈川禽獣魚型勾玉。
その「威」は陸、海、空これらを全て併せ持ちます。
独特な形状故、その攻玉は困難を極めましたが「技」の練磨で乗り越えました。
いにしえの工人に倣い2014年の締め括りの神玉となりました。
栃木県、「威」を見事に制御されるM様所有
  


M様よりいただきました写真。

皇紀2674年末「神御穂須須美命」をお納めした後、皇紀2675年元旦に
M様は神玉と共に大三輪の大神様の元にご挨拶に行かれ、大神様のご祈祷をお受けになられたとの事。
その際にお受けになられた御神符、御朱印と共に写った「神御穂須須美命」の写真をいただきました。
手塩にかけた玉がこうして持ち主の方と共に大神様の神前に行く事は古と同様。
古式玉職人として本当に嬉しい事でございます。
誠にありがとうございます。



いただいたご評価とご感想魂
(掲載ご了解済です)

「神御穂須須美命」を身に付けて感じたことを送ります。

包みを開くと『御桶代』が出てきました。
青を基調とした美しい御桶代です。
蓋を明け閉めすると空気が出入りして寸分も狂いがないことが分かりました
恐る恐る御桶代を開くと今まで見たことがない勾玉が姿を表しました。

空と海を連想させる水色をベースに川と深き海を連想させる青、
大地を連想させる茶色が全体に広がっており、
その姿はまるで陸海空の三界を示しているように感じました。

「神御穂須須美命」を身に付けていましたが
朝日、昼の陽光、夕日、雪で白く染まった神社の境内、
神玉の色合いと雰囲気は時間と天候で変わって行きました。

時間と共に変わり行く姿は匠が丹精込めて手で
磨ききるからこそ出る艶と美しさだと思います。

これまで玉作さんに譲ってもらった玉も、
作っていただいた玉も初めて身に付けると繋がったと言う感覚の後に
激しい『うねり』や全身に感じる強い圧迫感などを感じて、
試されている、量られていると感じました。

しかし今回、「神御穂須須美命」を身に付けた時に
『うねり』や痛みはなく私と言う器の中に清涼なる山の湧き水が
注ぎ込まれた感じがしました。

目を閉じたまま意識を自身の回りに向けると
森羅万象と言う世界が広がっておりました。

その時に私の胸に開いている穴を「神御穂須須美命」が埋めてくれました。
長く離れ離れになっていた半身が今、戻ってきた感覚です。

今回、無茶な依頼を引き受けていただき、本当にありがとうございました。
縁に感謝致します。


大変ありがとうございます。
奴奈川の玉匠として持てる技能の全てを注ぎ込みました。
こうして神の原石を縁にて攻めさせていただく事。
それはいにしえの時代も同じだと存じます。

奴奈川の玉匠として今後も精進いたします。

「風雨同舟 迎接挑戦」
玉作 工人  拝






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