奴奈宜波乃玉匠
玉作 工人


   





子供の頃から抱いていた古の時代への憧憬。

当時の「モノ」に興味を持ち、「何のために」「どうやって」この二つを
常に追求し石器や土器つくりを通し様々な気付きがありました。

その中で得た「やってみないと判らない」事の重要性。

いくら知識や技術があってもそれは後世の人のもの。

土器作り、打製石器作り、磨製石斧作り、須恵器作り、
砂鉄低温還元製鉄など多くの事をしてまいりました。

これらで得た知見と技を使ったいにしえの仕事の中でも、
全ての固有技能を用いないと出来ず、
私の中では最高水準の難度だったのが玉作でした。

マガタマのタマは縄文時代からある言葉、魂のタマです。

その憑代であり入れ物は、イシで出来ています。

硬い石を打ち割り、穿ち、整形し、磨く。

現代で考えれば簡単に出来そうなこの事が
なかなか出来なかったのです。

最初の三年間は孔さえ満足に開ける事が出来ず、
現代技術の脆さを感じました。

そうした時に役立つのが「現物」です。

遺跡、埋蔵文化財センター、考古学研究所に通い続け、
「ブツ」を手に取り様々な事を考えて、
それを一つずつ具現化しやってみる。

現物は雄弁にその思いや工程を語ってくれます。

多面的に玉作を研究するためには実験考古学だけではなく、
記紀以前の神社伝承、古老の話す地域伝承、最新の発掘成果、
古代の地形や水利、河川の寄付きや岬、
これらを統合して考える事で様々な事が見えて来ます。

その間、本当に様々な試行錯誤の連続でした。
しかしその積上げと飽くなき執着、決して諦めない事が何より大事。

今ではその積み重ねた年季が私の玉作りを支えています。

決して石に逆らわず、形を作ろうとせず、嫌がる事はしない。

古の職人様に敬意を払い、流れに身を任せる。

古と同じ、持たれる方の「威」を感じ、
元々石の中にあった形を「技」によって出ていただく。

その一連の玉作、攻玉の流れの中には現代的な
「加工」(原材料に手を加えて製品を製作する)
という概念は完全に無いのです。

現代において「技術」という他人の理屈に囚われず
既成概念、常識を疑う、知恵を搾る事が玉作、攻玉の始まりであり、
長く攻め続けていると、結局何をしても最終的にはここに帰結します。

これが玉作工人の玉作、攻玉の極意です。

気が付けば、玉を攻め始めて三十八年、弐代目二十年が過ぎていました。

弐代目は新たな「技」を再現させ神の水準の「砥ぎ」を
凄まじい試行錯誤で現代に黄泉返らせました。

玉作 工人もだいぶ疲れて来たようです。





玉作工人 概略



「誇り」

皇紀弐六七六年


倭之青垣東山坐
倭大物主櫛甕魂命大神様へ

玉作工人 二代合作で暗闇の神時に誠心誠意全霊で拵えた
「奴奈宜波玉美須麻流」一連、「奴奈宜波玉子持勾玉」一珠
による「大神乃玉」御神納の栄誉を賜る。

儀式が終わりお納めした「大神乃玉」は大神様の御所有として
御物になられ御神倉にお入りになられましたので、
我等職人は一生拝見することは叶いません。

古式玉職人として「最高の誉」我等親子末代迄の誇りでございます。

   




「流儀」


「神恩感謝」

「中今」今の瞬間に感謝。
常に謙虚に、愚直に、地道に。




「不撓不屈」
困難な攻玉こそ燃える。
いにしえの技、知恵を出し切り攻め込む。



「百聞以不如一見、
百見以不如一考、百考以不如一行」
とにかく良く考えてやってみる。
やった結果がその答えを必ず出してくれる。







「伝承」

職人の持つ固有技能、これをわが国では「技」といいます。
そこには五感はもとより第六感も入って来ます。

故に「技」とは人から人に伝承して行くものであり、
そこになんら媒体はございません。

技術とはその技の一部を機械化、理論化し何らかの
媒体を通し伝播するもの。

従って職人の仕事は「職人技」と言いますが
「職人技術」とは言わないのです。

同じ道具、同じ工程、同じ考え、同じ見方で仕事をしても
出来上がる作品は全く異なったモノになります。

これこそが「技」の奥深さ、
我が国モノづくりの面白さだと考えています。

この技を、 思いが鈍らないうち、腕が緩まないうち、
目が曇らないうちに今までの玉作、攻玉技の全てを
「技伝書」として纏め、弐代目に受渡てまいります。







「歳」

孫のいる爺。

(世界中駆け回りそうとう疲れた)



「家族」

母、愛妻、倅二人夫婦、孫
愛犬二頭、ポンタ、 ラッキ
二頭ともだいぶ年取ったようです。


      



「性格」

ますます、ひたすら、頑固一徹(家族談)


「趣味」

孫とただ、ただ、たのしく遊ぶ。
(極めて楽しい)

家内と出かける小旅行。
(日帰り温泉行ってふやける)






「頑固一徹」

玉作 工人 拝

弐代目 玉作 工人  拝