沼名河之 底奈流玉 「加賀乃匠護」
大三輪の大神様の御神縁により、加賀国の匠一族の護りを拵える機会を賜りました。 匠ご一家が長年にわたり奴奈川のから下賜された硬玉をお預かりし、 大神様に拝礼し、古の技で磨き、穿ち、その姿を現世に生み出してまいります。 遠く縄文から続く技を用い道具に拘り古式に則り、大神様のご加護を受け 地道に愚直に深山の工房にて腕を振るいます。 一、高志軟玉異型大勾玉 「高志神田坐三諸乃大神」 (こしこうだにいますみもろのおおかみ) [最大全長68.8ミリ、最大幅18.3ミリ] 高志神田の匠一族の家護りを流水紋の緑の軟玉から拵えました。 持つ「威」は縄文の人々の自然への畏怖、祈りの形。 匠一族をずっと見守って来た原石の声を聴き、意志に従い玉となる。 高志神田に坐す大神様の姿でございます。 二、奴奈川硬玉縄文勾玉 「神高志乃波自加彌」 (かむこしのはじかみ) [最大長:51.7ミリ 最大幅:15.2ミリ] 奴奈川の海より下賜されし非常に緻密且つ強靭な硬玉より 親方の護りである縄文の「威」を砥ぎ出しました。 加賀の国にて腕を振るう親方の威に併せ、延喜の制より前に加賀に坐す神である 高志坐波自加彌神より「威」をいただき砥ぎ上げました。 三、奴奈川硬玉獣型勾玉 「神高志乃水縹狼」 (かむこしのみはなだおおかみ) [最大全長52.0ミリ、最大幅14.5ミリ] 奴奈川の海より下賜されし清らかな水を固めたような硬玉から 二代目の護りである青き狼を砥ぎ出しました。 驚くべき透明度と強靭さを併せ持つ奇跡の硬玉。 持つ「威」は清らかな水と狼の力でございます。 四、奴奈川紫硬玉勾玉 「加賀坐白山比灯T紫翠」 (かがにいますしらやまひめのしすい) [最大全長46.0ミリ、最大幅15.5ミリ] 奴奈川の淡い紫の硬玉より砥ぎ出した加賀の母。 紫翠とは古からの「威」を持つ言葉、その中に言霊を持ち、生命の連鎖を司ります。 持つ「威」は遠く高志の頃より続く日本人の心であり母の優しさでございます。 五、奴奈川硬玉勾玉 「幸照」 (ゆきあかり) [最大全長24.0ミリ、最大幅9.5ミリ] いにしえより続く「縁」(えにし)、同じ匠としての感性、そして思いと気持ち。 その命を受け玉作工人が砥ぎ出したる奴奈川の小さな太陽。 この玉は組み玉として二個で一対、銘は「ゆきあかり」。 その気持ち、歴史、伝統。 時間を越えた中でこの対玉が並んで胸に輝く事を祈っています。 地祇乃御魂 玉作 工人 拝