工房作品 二〇一三
皇紀2673年、玉作 工人は復活をいたしました。
海外生活で疲弊を極めた魂を呼び覚まし、老体を奮起して再起動です。
奴奈川の原風景、そして我が国の美しい自然、文化を守りつつ「玉作」
という日本文化の源流を守り続けて行こうと思います。
大神神社、奴奈川神社、貫前神社の御札に護られながら
匠の手仕事のみで魂を入れ込まれた作品をどうぞご覧ください。
玉作工人さま
本日、「翠威」が到着しました。
ありがとうございます。やはりものすごく素敵です。
HPで拝見していたときも感じていたのですが、
こうして実物を目にしますと、深い森の静けさや、その地中、
木の根や岩の間をくぐって流れ出る水の清らかさのようなものが
玉のなかに脈々と溶け込んでいるようで、惹きつけられます。
手のひらにのせると、心が鎮まってきて、
とても頼もしく、心強い気持ちになってきます。
それと同時に朗らかで、おおらかな雰囲気も伝わってきて
なごやかな心地にもなってきます。
それはきっと玉の一粒ひとつぶに、
強く、暖かみのある光があるからではないかと思います。
その光はきっと、玉作さまが一つひとつに
丹精をこめ、思いをこめて磨かれたからこそ
生まれた輝きなのだと拝察いたしました。
玉作さまは先日のメールで、手仕事であるがゆえに
本当に良く見ると孔位置がほんの少し(0.5ミリ程度)ずれていたり、
完全な真球で無い玉もあると書いていらっしゃいましたが、
そのあたりは、私にはよくわかりませんでした。
むしろ、これほどに美しく、力に満ちた手玉を、
すべて手仕事だけでお作りになられたということに、
とても心動かされ、感じ入りました。
父もとても喜んでくれると思います。
私もまた、この手玉や、
先にお譲りいただいた「沼川の神桜」を見るたびに、
ときめきます。そして心に思うことがあります。
おそらく一見、とりつくしまもなさそうな硬い石が
匠の手で磨かれることによって
これほどに麗しく、強く優しい玉になるということを拝見しますと、
強い思いをこめて、ものを作ることの大切さと
人の手と力が持つ大きな可能性を感じて、
ささやかながらも、自分もまた精進していこうと思うのです。
このたびも素晴らしい作品をありがとうございました。
私もこのご縁に感謝しております。
Tさま大変ありがとうございます。
奴奈川の玉匠として今後も精進いたします。
「風雨同舟 迎接挑戦」
玉作 工人 拝
二、奴奈川硬玉勾玉
「沼川の神桜」
[全長40.5ミリ、最大幅11.5ミリ]
神奴奈川姫を待つ場所で咲いた古式奴奈川勾玉です。
乳白色とほのかな紫、頭には春の新緑を持ち、透ける紫に流れる
流水模様から発する「威」は古より綿々と続く、大いなる護りとなります。
西海道風土記に云われた宗像の大神、
多岐津比売命に納められた「八尺蕤の紫玉」とはこのような紫の玉だったのでしょう。
手仕事にて限界まで磨き込まれた古の輝きが再現できました。
光源によって色、艶を変える姿は、まさに巫女の玉です。
大いなる奴奈川の「威」を感じていただければ幸いです。
東京都、T様所有
東京都、T様からいただいたご評価とご感想。
(T様掲載ご了解済です)
こんにちは、Tです。
さきほど「沼川の神桜」が到着しました。ありがとうございます。
写真で見たときも心惹かれましたが、実物を手にしたら、さらに好きになり、
ずっと前から見知っていたかのような、心地よさ、親しみ深さを感じています。
ほんのりと頭の部分にある、澄んだ緑が愛らしく、眺めていると、
つい、左手のたなごころに置いて、右手でさすってみたり
指で撫でてみたり、と睦んでしまいます。
それから日にかざしてみたり、また手の上に置いて眺めたり。
光の薄いところではまろやかで、強いところでは艶やかで
その色合いの変化にうっとりします。
そうしていると、心がなごやかになってきて、とても安らいできます。
ふんわりと微笑んでしまうような心地です。
とても麗しく、されど慎み深く、愛らしく、それでいて“強い”というところも好きです。
慈しみや、優しい叡智という言葉も思い浮かび
この勾玉の持ち主として、精進していこうと思いました。
私はこの勾玉が大好きです。
手にしていると、本当に心地よく、ずっと肌身に接していたいと思ったので
これから紐を用意して、首から下げていようと思います。
でも、今、付けてくださっている革紐もとても素敵ですね!
古代史に出てくる皇子たちの佩刀には、
こんな感じの革紐で麗しい勾玉がついていたのだろうか、といろいろ想像しました。
紐につけてくださった小さな玉も美しく、
茶色の革紐と小さな玉、「沼川の神桜」との調和が素敵で
首から下げる紐に替えるのが惜しい気がしたので、
革紐をつけた姿の写真を、たくさん撮っておきました。
勾玉の美しさもさながら、石を納めてくださった箱、革紐、
すべてに細やかなお心遣いをいただき、とても嬉しいです。
このたびのご縁に、とても感謝しています。
Tさま大変ありがとうございます。
奴奈川の玉匠として今後も精進いたします。
「風雨同舟 迎接挑戦」
玉作 工人 拝
三、奴奈川硬玉勾玉
「山添の春風」
[全長39.0ミリ、最大幅10.7ミリ]
古式奴奈川玉作、弥生末期の形状です。
頭に刻み込まれた三条の丁子、まさに大王の「威」を持った勾玉です。
透ける流水紋、そこに流れる一条の翠。
清流に春の訪れを告げる玉に仕上がりました。
完全な手研磨が生み出す光は上代玉作工人の真骨頂です。
我が国の多くの甕棺墓、大古墳から鏡と共に出土する丁子頭勾玉は
その当時の大王の魂の憑代だったのだと思います。
東京都、T様所有
東京都、T様からいただいたご評価とご感想。
(T様掲載ご了解済です)
こんにちは、さわやかな秋晴れが続きますね。
このたびは「山添の春風」をありがとうございました。
また玉の相談にのっていただき、とても感謝しております。
私は日頃、玉作さまの作品を絹紐に通して身にそわせているのですが、
最近、しきりとこの玉と何かを「一対」にして
身につけたいという気持ちがわいていました。
最初は紐に下げた玉の重みが首にかかるので
背側に何かをかけて一対にし、重さのバランスをとりたいのかと考えました。
そこで手持ちの石のアクセサリーを下げて重量を分散させたのですが、
なんとなくしっくりときません。
よく考えると玉の重みはそれほどでもないので、どうやらバランスの問題ではなく、
玉を一対にしたいのだと思い当たりました。
そこでこのたび玉のご相談をしたところ、
「山添の春風」が今、所持している作品と同じ原石から生まれたこと、
そして攻玉の際に二つの玉が「静と動」「姫と武人」「陽と風」
を思わせる一対であったとうかがい、ご縁に恵まれたと感じました。
今、「山添の春風」を眺めているのですが
まさに“動”“武人”“風”という言葉がぴったりです。
石の色合いは透き通るような白地に、淡く若葉色が浮かんで、とても清々しくさわやかです。
風に色があるのなら、木々を芽吹かせ、花を咲かせる春風は、
たしかにこうした瑞々しい色をしている気がします。
そして頭の三本の筋はくっきりと鮮やかで、魔を砕くような勢い。
そもそもそれ以前に、邪なものを寄せつけないような風格があります。
石を人にたとえたら、春風はまさに武人。
武器もとるが筆もとる、文武両道の清々しい人物という気がしました。
さらに心惹かれるのが触れた感じです。
手にしますと、たいそうなめらかで、すぐに体温になじみます。
そのまま持ち続けていると、石なのにやさしく、あたたかい心地が伝わってきます。
それなのに見た目は透き通るような白で、氷のような風情。
一見、冷たそうなのに触れるとやさしく温かい。
人間であってもたいそう魅力的な特質です。
石からこうした美質を引き出す、この艶やかな手触りはおそらく手仕事のみがなせる技。
まさに匠の技の滑らかさなのだと感じ入りました。
この玉と、先にお譲りいただいた玉と並べますと、
色合いと雰囲気が調和し、本当に神々しく、それでいて親しみ深く、
仲睦まじそうな雰囲気が場をなごませて見飽きません。
身にそわせばしっくりとなじんであたたかく、
おおらかな空気に包まれているような喜びと安堵感があります。
花と風の銘を持つ二つの玉とともにいることは
永遠の春とともに暮らしているようで、とても心愉しいです。
うつくしい玉とのご縁をありがとうございました。
Tさま大変ありがとうございます。
奴奈川の玉匠として今後も精進いたします。
「風雨同舟 迎接挑戦」
玉作 工人 拝
四、奴奈川青石勾玉★
「神祖御歳比売」
(かむろぎみとしひめ)
[全長45.50ミリ、最大幅16.5ミリ、比重2.86]
奴奈川青玉より砥ぎ出したる蒼海の玉。
片側に穏やかな凪の海、片側に恐ろしき荒れた海を持つ
恐るべき「威」を持つ大勾玉です。
光源により姿を変えるその身はから発する「威」には畏怖を覚えます。
五、奴奈川緑色蛇紋岩大勾玉
「高志の緑龍」
[全長54.9ミリ、最大幅19.5ミリ]
奴奈川蛇紋岩より砥ぎ出したる緑の龍。
その身から湧き上がる「威」は森林の力そのものです。
形は古墳時代最末期、仏教が伝来し古神道とせめぎ合っていた頃の、
勾玉文化の最終形状を生み出しました。
御統になった時、この大勾玉は最高の力を出すと玉作工人は思います。
温度、湿度、光によって色を変化させながら身から出る蛇紋岩の「威」
は古代において、「物の怪」除けとして使われたのだと思います。
奴奈川蛇紋岩だけが持つ不思議な力です。
神奈川県、M様所有
六、奴奈川硬玉勾玉
「沼川の碧威」
[全長38.5ミリ、最大幅11.5ミリ]
角閃石を伴った硬玉より砥ぎ出したる奴奈川の深山。
身はあくまで細く、「威」は限りなく高く。
打込錐による片側打撃穿孔、頭には三条の丁子、
手仕事の限界まで攻め込み生まれた深山の精霊。
麗しい妖艶な姿とはうらはらに、若草のように透ける透過光は
恐るべき力を生み出し、持たれる方を守護します。
これぞ「奴奈川の底なる玉」だと玉作 工人は思います。
東京都、S様所有
東京都、S様からいただいたご評価とご感想。
(S様掲載ご了解済です)
ついに私の護り玉が到着しました。
玉作樣、貴重な作品をお譲り頂き誠に有難うございました。
以前にも申し上げた通り、私は国家万民の未来を耕すため
官僚として生きてゆきたいという大望があり、
外国での滞在を終えた後は、翌年の試験突破を目指して早朝に起き、
深夜まで勉強をする毎日を送っております。
しかし、自室に篭り毎日妥協なくやるので、これを続けていると魂は衰弱し、
それはやがて心身の疲弊をもたらします。
そこで、磨り減った魂を鎮め、覇気を保って合格・内定までたどり着く為に、
上古神道の結晶たる稜威の勾玉を授かるのが最良と考えたのです。
このたび譲って頂きました『沼川の碧威』の表面には、
独特の"ぬめり"があり、岩塊から打ち出したとは信じ難い美しさです。
ましてや、これを手仕事のみで製作したというのは驚異的と表現しても過言ではありません。
どことなく艶気が漂うその身は、掌に乗せると存在感を発しています。
そして何と言っても、勾玉特有の造形美に見惚れます。
上古には日本各地で祭祀・装身具として用いられ、
中国・朝鮮に輸出された古代日本の遺産を、近代平成の御代にこうして
眺めることのできる尊さに感動しております。
これはひとえに伝統を守り伝える人々の存在なくして語れないものであります。
他の方はどのように勾玉を用いているのか気になりますが、
私は安置する台を設けて厳重に祀ろうと考えています。
私の魂の依り代として、宿願成就の祈りを日々捧げる御神体にするのです。
『沼川の碧威』は、世界に一つしかない私の護り玉として、
これからも末長く私の身から離れず、弥栄をもたらし続けることと信じております。
このご縁を奴奈川の神々に深く御礼申し上げます。
Sさま大変ありがとうございます。
奴奈川の玉匠として今後も精進いたします。
「風雨同舟 迎接挑戦」
玉作 工人 拝
東京都S様より『沼川の碧威』の祀られている状況をご連絡いただきました。
厳重に古式に則り保管され、力を蓄積している事がその玉肌から良く判ります。
S様の「思い」が『沼川の碧威』に新たな「威」を入れ込んでいるのです。
伊勢神宮御造営の際の残材にて製作された唐櫃に納められています。
中には袋に守られ勾玉が入っており、底には千代紙にて煌びやかな部屋とされています。
神事用の国産精麻を取り寄せ、S様が魂を込めて紐を結ばれ勾玉に通されています。
古式玉匠として誠に嬉しく、本当に職人冥利に尽きます。
誠にありがとうございます。
七、奴奈川硬玉勾玉
「沼川の玉しずく」
[全長30.7ミリ、最大幅12.5ミリ]
ヌナカハの河川より出でたる硬玉より砥ぎ出した奴奈川の清流。
身はあくまで小さく、姿はあくまで可愛く。
新発見技術による限界領域での管錐穿孔による魂入れ。
結晶粒に逆らわない砥石入れによる磨き込み。
この手仕事により生み出された玉しずくは、光源で驚くほど姿を変えます。
時には気高く凛とした姫、時には小さく可愛い女の子。
水色、白色、薄緑色に変化する姿は本当に水量で姿を変える姫川の様です。
神奴奈川姫も子供の頃、持っていたであろう玉しずくです。
神奈川県、M様所有
八、奴奈川硬玉勾玉
「永」(なが)
(インドネシア語で「龍」の意味)
[全長38.5ミリ、最大幅11.5ミリ]
奴奈川の底なる玉を白く透ける硬玉より砥ぎだしました。
頭には緑の翠を持ち、その身の半分には透ける流水紋を伴う白い肌。
古式玉作で結晶粒を程よく残し、光によって姿を変える透過とあいまって、潤いを持ちます。
その流麗な姿とはうらはらに、持てる「威」は猛々しく、周囲を威圧します。
攻玉拝受の際にお写真をいただき、強い男の「威」を感じながら
原石の声に従い砥ぎ出した我が国伝統、固有の形です。
世界で活躍される声楽家の方をお守りするために生まれた、奴奈川の底なる玉です。
埼玉県、K様所有
埼玉県、K様からいただいたご評価とご感想。
(K様掲載ご了解済です)
玉作さんが外国から戻られ、また新たな作品を拝見できる日を心待ちにしておりました。
この度はまずは友人の護り玉をお願いさせていただいて、
可能ならば同じ原石から私の新たな護り玉をお造りいただけないかをお話しさせていただきました。
歌うことこそ我が人生。
マネージャーでもある彼があってこその私です。
いわば一心同体。
ぜひ彼に玉作さんの護りを贈りたいと思っておりました。
そして、帰国された玉作さんのパワーは驚くべきもので、素晴らしい護り玉をお授けくださいました。
声楽家として仕事をしておりますと、華やかな世界ではありますが舞台上での危険が常にあり、
時に人の嫉妬をかってしまうこともあります。
気の休まらないことも多い私に、本当に清々しい玉をお造りいただきました。
なめらかな肌の中にキラキラと光る結晶が美しく、また光の透過も抜群で、
爽やかな水の塊を手にしているようです。
見つめていると、この玉の中に吸い込まれてしまいそうな錯覚があります。
美しさの中に大きな「威」があることはすぐにわかりました。
この玉は生きています。
安らかな心持ち、それでいてまた気を引き締めてがんばろう!と思えるような潔い威を感じます。
長い年月をかけ大地の中で結晶となったこの翡翠。
仏師が木から仏を彫り出すように、この翡翠の中に秘められていた玉を玉作さんは実に見事に取り出されました。
あたかも昔からそこにあったように、今私の首にかかっているこの玉。
この玉と共に、そしてこの玉に恥じないように、これからも歌って行きたいと思います。
ありがとうございました。
Kさん大変ありがとうございます。
奴奈川の玉匠として今後も精進いたします。
「風雨同舟 迎接挑戦」
玉作 工人 拝
九、奴奈川硬玉勾玉
「八」(はち)
(インドネシア語で「心」の意味)
[全長38.0ミリ、最大幅11.2ミリ]
古式奴奈川勾玉を白く透ける硬玉より砥ぎだしました。
頭には一条の翠を持ち、流麗な身は透ける流水紋を伴います。
三条の丁子を刻み込み、魔除けの「威」を封じ込めました。
持てる姿は嫋やかに慎ましく、しかしその「威」は激しく猛々しく。
この玉は上の声楽家の方のご依頼でマネージャーさんのためにと御依頼されました。
お写真を拝見し、お姿は男性そのものだったのですが、写真から感じる「威」は
女性そのもので、石の声を聞き砥ぎ出されたのは柔らかな姿になりました。
声楽家の方を支えるマネージャー様をお守りするために生まれた、奴奈川の底なる玉です。
埼玉県、T様所有
上記二珠は同じ原石から生まれた兄弟珠です。
いつもお二人でご活躍されるその陰で、奴奈川の底なる玉がお守りしています。
十、蛍石(フローライト)勾玉
[全長33.3ミリ、最大幅13.3ミリ]
群馬県の主婦の方のご依頼でフローライト(蛍石)で玉をこしらえ
拝受の際、言われたご注文は
「大きさは35ミリ以下、出雲大社の勾玉より少しまん丸く」
原石が小さかったので難しかったのですが、何とか形に出来ました
この石は硬くないため、穿孔時に舞錐が暴れ、錐がまっすぐに
入って行かず、穴径が予定より0.5ミリ大きくなってしまいまし
「柔らかいからすぐ穴が開く」現代人のこの思い込みがダメなんだ
温故知新を再確認いたしました。まだまだ修行が足らないようです。
群馬県S様より嬉しいご連絡を頂きました。
わたくしの拵えた勾玉を胸に密かに仕舞われるのではなく、
根付と
ご自分でこのように細工をされたそうで、なにやら組紐が難しそう
こうしてお納めした玉が新しい命を吹き込まれて使われる事は
玉匠として本当にうれしい事です。ありがとうございます。
「風雨同舟 迎接挑戦」
玉作 工人 拝
皇紀二六七三年作品
作品にご興味のある方は、お気軽に連絡ください。
E-mail 玉作工人