沼名河之 底奈流玉 奴奈川高品質硬質蛇紋岩 琴柱形石製品 「矢田坐日霊女乃大神」 (やたにいますひるめのおおかみ) 大和を中心とした四世紀〜五世紀の大規模古墳から発見される琴柱形石製品。 その出土数は極めて少なく当時のごく一部の高貴な方だけが所有した威信財で、 その扱いは鏡や剣同様に極めて大事にされた石製品となります。 琴柱形石製品には何らかの形式が存在する様で、大きく八種類に分かれるようです。 私が実見した範囲では、大和では古代氏族により形が異なるようで、 同族が地方にいる場合、その地方の大規模古墳から同形式のものが出土しています。 出土は鏡、勾玉と一緒に頭部付近から見つかることが多く、何らかの大きな 意味合いがあるのは確実ですが、現時点確実な用途は分っておりません。 今回砥ぎ出した琴柱形石製品と全く同じ形式の製品が奴奈川の笛吹田遺跡の工房から出土し、 この形式の製品製作地は奴奈川であることが確実になりました。 大和を中心とした大規模古墳の被葬者に供給されたもの以外で、工房遺跡から 本品が出土したことは極めて大きく、当時の大和中央と高志、奴奈川地域の 関係性を明確に語るものとして、非常に重要だと考えています。
頑固一徹、玉作工人が手塩にかけ玉作技能の粋を集めた 作品の「威」を感じていただければ幸甚に存じます。 玉作 工人 拝