沼名河之 底奈流玉 奴奈川甕覗硬玉玉杖(宝器) 「玖沙訶坐御諸乃大神」 (くさかにいますみむろのおおかみ) 「玉杖」弥生末期〜古墳時代初頭にその姿を現す極めて特殊な宝器であり、 大和地域で十例前後に留まる大和王権の威信財となるようで、当時の祭祀王となる方が 所有していた様ですが、出土数が極端に少なく詳細はわかっていません。 一般的には玉杖形石製品と言われ、弥生時代にその原型と思われる木製杖が 各地で発見されておりますが、石製玉杖は大和を中心に十例以下の様であり、 その極端な希少性から初期大和王権の証だとされています。 弥生期の木製杖、古墳時代の玉杖、琴柱形石製品、玉杖形埴輪、石製石花に繋がって 行くようですが、体系的にその系譜は明らかになっておりません。 どの玉製品も発見される場所が極めて限定され、大和中心の四世紀前半の 大王級、大豪族級大規模古墳からのみ発見される極めて少ない石製品となります。 攻玉の技法としては中心の管錐穿孔を基準として、全体の具合を見ながら 各部の玉製品を砥ぎ出して各製品篏合部を合わせて行く事の繰り返し。 中心軸基準のため、各篏合がぴったりに平行に合わさらないとガタが出て 玉杖完成品とはならないため、硬玉の隙間整合に莫大な時間を要しました。 出土品はその殆どが国宝、重要文化財指定となっており、手にして感じることが出来ず 指定外出土品の実見、各種研究論文等の読み込み、物の試行錯誤を何度も 繰返すことで、「玉杖」攻玉技能を確立いたしました。
頑固一徹、玉作工人が手塩にかけ玉作技能の粋を集めた 作品の「威」を感じていただければ幸甚に存じます。 玉作 工人 拝