工房作品 二〇一五 弐 皇紀2675年、玉作 工人は以前にも増し大神様、大巫女様の「威」をいただき、 日々の攻玉に人の知恵による古式の「技」を併せ、ご縁による「受威」 それを受けて「技」と昇華させ、持たれる方の魂の依代となる玉を砥ぎ出し、 広くあまねく「発威」となれるよう本年も努力を続ける所存です。 持たれる方に「弥栄の風」を運べることを信じ、いにしえの「技」を追い続けます。 そこには現代的な「技術」の考え方は皆無です。 あるのはただひたすら職人として「技」を追求する魂だけでございます。 本年も奴奈川の原風景、そして我が国の美しい自然、文化、歴史を守りつつ 「玉作」という「技能」を通して日本文化の源流を守り続けて行く所存です。 大神神社、奴奈川神社、貫前神社の御札に護られながら 匠の手仕事のみで魂を入れ込まれた作品をどうぞご覧ください。 一、奴奈川硬玉親子勾玉 古式御頸珠攻玉 「神豊受大神」 [最大全長43.0ミリ、最大幅12.5ミリ] 奴奈川の極めて美麗な黒翡翠より砥ぎ出さした漆黒の親子勾玉。 双頭に丁子を持ち、光を通すその姿からは畏怖を感じます。 持つ「威」は天空を司り、首長をまとめた女王の神威でございます。 この親子勾玉は古式御頸珠の親玉でございます。 「神豊受大神」 二、奴奈川硬玉裸石 「心芽」 (しんが) [最大長：19ミリ 最大幅：13.7ミリ 最大厚：5ミリ] 素晴らしきご縁にて、奴奈川硬玉から世界で活躍される芸術家の方が 護りとされる指輪のルース（裸石）を拵える機会を賜りました。 古式攻玉の技のみを用い原石の声を聞きながら砥ぎ出しました。 翡翠輝石の脈に添って流れる黒、ろうかんの翠と混ざり合い幻想的な風情を湛えます。 埼玉県、K様所有 いただいたご評価とご感想。 （掲載ご了解済です） 黒光りする石のその中は、はっと驚くほどの緑が秘められています。 柔らかくも、そして強くも感じられるその形は、やはり力強い魂が宿っています。 小さな石なのに、いつも厳しく、そして温かく見守ってくれる大きな人のような存在感は、 自らもまた護られるばかりでなく、精進せねばならないということを思い出させてくれます。 匠が磨きだした玉を持つ時にはいつも感じることですが、今回もまた、 この石に相応しい人であらねば、とあらたに思いました。 大きな人の優しい目に見守られる安心とともに、自分も強くありたいと思います。 ありがとうございますm(_ _)m 大変ありがとうございます。 奴奈川の玉匠として今後も精進いたします。 「風雨同舟 迎接挑戦」 玉作 工人 拝 三、大倭紫水晶勾玉 姉玉 「巫乃御魂」 [全長35.5ミリ、最大幅14.4ミリ] 素晴らしきご縁にて美しき紫水晶から姉妹玉を拵えました。 強い「威」を持たれる方の護りになれる古式丁子勾玉を砥ぎ出しました。 玉作の全て（姿、形、大きさに至るまで）をわたくしに一任いただき、 感じたままを思うまま古式で攻込みました。 その透ける身、力強い姿、頭の丁子は意志の表れ。 持つ「威」優しく強く力強い女性の「威」です。 この玉は艶やかな世界を創造、演出される女性匠の護りです。 群馬県、美の匠 Ｍ様所有 四、大倭紫水晶勾玉 妹玉 「葦原乃紫威」 [全長34.2ミリ、最大幅13.3ミリ] 姉玉と同じ鉱脈の原石から拵えた妹玉。 持たれる方の「威」を感じ、こちらはあくまで優しく嫋やかな姿。 優しく明るい姿を原石の中から砥ぎ出しました。 玉の中の複雑な劈開が、あらゆる方向からの光を反射して、 神々しいまでの姿を出現させます。 持つ「威」は美しく優しい女性の「威」 その姿の中には持たれる方を確実に御守りし元気にできる力を併せ持ちます。 群馬県、A様所有 並んだ姉妹玉 五、大倭水晶切子玉 古式御頸珠攻玉 「台与乃御輝威」 [平均全長20.5ミリ 平均全幅12.5ミリ] 水の結晶の如き水晶より「豊葦原壽」（とよあしはらのことほき） の護りとなる八個の切子玉を砥ぎ出しました。 古の技、砥石の切込み、水と砥石の調和ここから極めて高い透過度と まるで刃の切先のような鋭利な十二面体を生み出しました。 「神豊受大神護龍」 六、奴奈川碧玉勾玉 「須佐之碧雲」 (すさのへきうん) [最大長：42.0ミリ 最大幅：11.0ミリ] 奴奈川の深山の小さな小川から下賜された神の碧玉。 光を翠に染め、硬玉と見紛う美しい碧が出雲地方の深い森の色を放ちます。 いにしえの出雲の時代、日本海側沿岸地域に一時期現れしその姿。 大きく湾曲し光を放つ、その「威」は古の武人の護りでございます。 宮城県、Ｈ様所有 「須佐之碧雲」 いただいたご評価とご感想。 （掲載ご了解済です） この玉を手にしてから、古墳時代への郷愁の念が湧き出て止まらず、 当時の生活等を調べては無性に古墳や遺跡に行きたくなって仕方なくなりました。 私の生まれ育った土地はほんの小さな町ですが、 全国的に有名な古墳をはじめ、大小様々な古墳、遺跡が無数にあります。 そんな遥か昔の土地の魂、記憶、祖霊と繋げてくれ、 加護を受けられるよう取り計らってくれる、まさに何故玉が作られたのか、 その根源、意味を思慮深く教え示してくれる賢者の玉です。 大変ありがとうございます。 奴奈川の玉匠として今後も精進いたします。 「風雨同舟 迎接挑戦」 玉作 工人 拝 七、大倭紫水晶親子勾玉 「狭依比売命斎愛蝶魂」 (さよりひめのみこと いつきなる ちよたま) [全長37.5ミリ、最大幅10.5ミリ] 貴産なる紫水晶から親子勾玉を拵えました。 この形は持ち主の宮本女史からのデザイン画を元に 原石の声を聞きながら決して逆らわず、古式に則り砥ぎ出しました。 持つ「威」は芸能の女神が持つ優しさと強さでございます。 刀絵帰蝶、宮本ナル女史所有 「狭依比売命斎愛蝶魂」 八、奴奈川青石、黒硬玉、大倭水晶 丸玉、管玉、切子玉手纏 「美和乃蒼天」 (みわのそうてん) 青玉 [丸玉直径平均13ミリ6個、管玉直径12ミリ 全長21.5ミリ1個] 黒硬玉 [丸玉直径平均10ミリ10個] 水晶 [切子玉全長20.5ミリ 最大径12.5ミリ1個] 奴奈川の青石、黒硬玉、美しい水晶より大三輪の「威」を込め いにしえの技で力強い手玉（手纏）を拵えました。 光源によってその姿を自在に変え、その護りの力。 物怪を遮る威力は写真からも判って頂けると存じます。 「美和乃蒼天」 九、奴奈川硬玉縄文勾玉 「神高志乃波自加彌」 (かむこしのはじかみ) [最大長：51.7ミリ 最大幅：15.2ミリ] 御神縁にて石川県の匠一族護りを拵える機会を賜りました。 この縄文勾玉は匠一族の親方護りとなります。 奴奈川の青き海原より下賜された神の硬玉はその結晶の緻密さが 見せる虹彩と煌き、その輝きは遠く縄文の「威」を身にまといます。 早川の砥石で砥ぎ込む事で驚くべき艶肌と輝きが生まれました。 太古の人々の思いを形にした縄文勾玉になりました。 石川県の匠一族、親方様所有 「加賀乃匠護」 いただいたご評価とご感想。 （掲載ご了解済です） 封を開けてまず箱の凛とした美しさと和の香りが漂い心が弾みました。 守りの意味を込められたという箱の形は本当に素晴らしく色艶共に渋くてたまりません。 その箱を開けると存在感のある大きな勾玉が表れ、家族と共に歓声を上げました 初めて見た時感じたのは縄文の土の匂いです。 大振りで武骨な形に白と濃い翠のコントラストは原石の持つ味わいを 引き立たせてくれます。唐子鍵遺跡の勾玉の一つによく似た釣り針のような形ですね。 数年前海で見つけたあの石がこんな形になるとは。。。感慨もひとしおです 拾ったときに「いつかは勾玉に！」と思ってた原石が玉作さんの手で 研ぎだされたのだからこの原石も満足だったことでしょう。 玉作さんの研ぎだしたものは奴奈川の光景が広がり波音が聞こえてきます。 古の人々の息遣いも聞こえてきそうです。 濃い緑の部分はオンファス輝石以外にもいろいろ入り混じってるようで複雑な味わいです。勾玉をじっと見てると松脂の匂いが漂ってきそうで空気が浄化されるような感じがします 父親も気に入ってるようで時々そっと箱を開けて手に取ってしげしげと見ております。 これほどまでに色々感じさせる勾玉は玉作さんの作品以外にはないものと感じております。今回は本当にありがとうございました いにしえの「技」をご理解いただき、大変ありがとうございます。 奴奈川の玉匠として今後も精進いたします。 「風雨同舟 迎接挑戦」 玉作 工人 拝 十、奴奈川青石丁子頭大勾玉 「州羽之水潟」 (すわのみなかた) [最大長：54.0ミリ 最大幅：17.0ミリ] 奴奈川の深山に坐す小さな清流、そこはまさに古からの玉の川。 様々な石たちに混じってこの神の青石は存在します。 その希少度は硬玉の比ではありません。 深く青い流紋、砥ぎ込まれたその肌から生まれる虹彩。 遠くいにしえの時代より持たれる方を守護する威力。 持つ「威」は洲羽坐奴奈川比売の優しさでございます。 宮城県、Ｈ様所有 「州羽之水潟」 ご興味のある方はお気軽に連絡ください。 E-mail 玉作工人