工房作品 二〇二〇 



皇紀2680年、玉作 工人は継続して「技」の錬磨を地道に続け、
極小孔長手穿孔成功に続き、古の様々な石製宝器(威信財)再現にも挑戦いたします。

失われし古の「技」はまだまだ多く、一つでも多く再現して
次の世代にそのまま引き継いでゆくこと、これこそが古より続く
我が国ものづくりの流儀、そして魂なのです。

「玉は魂の依代であり、持たれる方の「威」を守護する器」

あくまで自然体で、石の意志に決して逆らわず、砥石との調和を通す。
それが「弥栄の風」を運べることを信じ、いにしえの「技」を追い続けます。

大神神社、奴奈川神社、貫前神社の御札に護られながら
手仕事のみで魂を入れ込まれた作品をどうぞご覧ください。


一、奴奈川高品質硬質蛇紋岩
琴柱形石製品

「矢田坐日霊女乃大神」
(やたにいますひるめのおおかみ)
[全長70.0ミリ、最大幅5.15ミリ、厚さ12ミリ]

奴奈川海岸転石の高品質蛇紋岩から琴柱形石製品を砥ぎ出しました。

非常に緻密な結晶組成が攻玉を阻み砥ぎ出しには非常に難儀しましたが、
砥ぎ出される石の角は鋭く立ち、まるで刃の様でした。

整形には様々な形状、粒度の砥石、鉄棒、砥の粉を段取りし、
失われてしまった整形技能再現に試行錯誤を繰り返しました。







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二、奴奈川圧縮硬玉、流水紋青玉手纏
「大和宜波坐流布留比売命」

(やまとかはにいまするふるひめのみこと)
 [直径15.0ミリ~12.0ミリ玉 18珠組]

高志の海岸転石(奴奈川圧縮翡翠)より砥ぎ出しました手玉です。

奴奈川硬玉としては珍しい石で、硬玉、角閃石、緑閃石等が流水状に混じり合い
光源や光が当たる角度によって独特の表情を見せます。

同時に下賜されし小さな青石からも丸玉を砥ぎ出し、
「威」の増加と玉中の結界を統御しています。







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 三、奴奈川硬玉縄文大珠
「加波孟雷」

(かはものいかずち)
 [全長51.5ミリ、厚さ17.3ミリ]


奴奈川清流の河床原石より縄文の「息吹」を砥ぎ出しました。

薄水色、黒色、緑色、白色、と硬玉としては珍しく
様々な色を併せ持っています。

穿孔は管錐と媒材を用いた舞錐摩滅穿孔で魂を込め、
肌は全て奴奈川〇〇川産の砥石にて、縄文時代と同じに攻め込み
放つ光も縄文時代と全く同じ肌、光彩を放ちます。

現代に甦った奴奈川縄文の「威」でございます。







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四、奴奈川高品質硬質蛇紋岩
石製紅入盒子

「霊刀自乃石紅」
(みとじのいしべに)
[全高38.0ミリ、最大径49.0ミリ、内径35.0ミリ]

奴奈川河床の高品質蛇紋岩から石製盒子を砥ぎ出しました。

緻密な岩塊から様々な砥石を用いて整形、研磨を繰り返し
合子として現出させますが、その技法は極めて特殊であり蹴轆轤と
管錐を用いて岩塊をくりぬき容器状の形を生みます。

緑色の蛇紋岩ですが、その完成はあたかも鋼鉄の如き光を放ち、
緻密な結晶組成と相まって金属光沢と金属音を奏でます。

遠く古から蘇えった大王家女性の持つ紅入れ。
その「威」は女性を彩る美の神籬なのかもしれません。


 





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五、奴奈川硬玉垂玉

奴奈川海岸転石から砥ぎ出した守護の「威」を放つ小さな垂玉です。

原石は蛇紋岩の母岩に硬玉が脈状に入り込み、美しい翆、白、黒
が混在し、美しい流れを持つ奴奈川硬玉海岸転石。

深山の渓谷から割出でて、渓流を下り、大河を下り、海へと入り、
荒波に揉まれて信じられない程の時間を経過して磨かれた神の石。

持たれる方の魂を護るべく大神様にお願いしながら攻め込みました。

この珠には持ち主の方がつけられた銘があります。

「草那藝之珠」

(くさなぎのたま)





埼玉県、K様所有

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いただいたご評価とご感想
(掲載ご了解済です)

硬いかたい硬玉は、まるで鱗のように薄く、そして輝いていました。

世の中は、あっという間に疫病が蔓延してしまいました。

なにが正しいのか、どう生きていけば良いのかを見失ってしまいそうな毎日。
匠は強い志と、確かな技で、美しくも力強い護りを研ぎ出してくださいました。

鱗のように薄く、しかし盾のように強く、優しさと温かさもあわせ持つ珠です。

首から下げてみれば、何か心の中心が定まるような、
冷静に居られる心の落ち着きを取り戻せました。

匠の研ぎ出す珠は、持つ人もまた磨かれていなければなりません。

この珠のように、自らを磨き続けるという決意と、
この珠が共に居てくれる縁と運を感じれば、気持ちも強くいられます。

スサノオが倒したヤマタノオロチから出てきた剣、草那藝之大刀。

疫病という現代の厄災ヤマタノオロチを、
匠がまるでスサノオの再来のように、強く打ち倒してくださった。

ヤマタノオロチの鱗から剣が出てきたように、
翠の石から剣のように強い珠を磨き出してくださいました。

はなれることはできません。
常に身につけて、力をいただいています。

心から感謝いたします。
ありがとうございます。

この硬玉垂玉は悠久の時間を超えて声楽家師範K様の護りとなるべく現出いたしました。

深山の工房で常に感じていたのは、砥石に添って姿がだんだん見えてくるときの
何とも言えない表現のしようがない「畏怖」でした。

鵺の鳴く深山の工房に響く、砥石との調和音。
肌が美しくなるに従いその音が美しく、そして消えて行く様は神々しさすら感じました。

持たれる方と珠の「威」がぴったりと合うことは最も重要です。
声楽家師範K様と珠が一体となって「威」が共鳴しあって増大する。
その両方が一致することはずっと前から決まっていた事であり、
正に「御神縁」でございます。

この作品は厳しい状況下でも硬玉を通して、珠が持つ自然の力「威」を受けて頂き
ますますご活躍されるよう、祈りを込めながら砥石に向き合いました。

その垂玉がこうしてK様の護りとなれ、いつも一緒にいていただける事で
弥栄の風を受けられ、さらに広く我らに感動をいただける事を熱望しております。


  ありがとうございます。

「頑固一徹」
玉作 工人 拝






六、奴奈川高品質碧玉四珠組勾玉
「蒼甕乃碧威」

(あおかみのへきい)
[最大長23.0ミリ、最大幅5.2ミリ]

奴奈川の深山から下賜された美しい碧から組玉を砥ぎ出しました。

透明度を持つ青緑色に白い石英流を持ち、極めて固い奴奈川碧玉。

この石も非常に稀に深山の渓流断崖に脈状に産出し、
河川流域から見つけることは非常に困難です。

古の大和に移った奴奈川工人が大王の為に使った石で、
威信財としての御統を拵える材として三世紀から四世紀初頭に使われました。

非常に温かみのある「威」を放ちその存在感は群を抜きます。





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七、奴奈川青石丁子勾玉
「深山乃流麗」

(みやまのるれい)
[全長38.2ミリ、厚さ12.2ミリ]

瓊名河青石沢産の貴産な河床転石から丁子勾玉を砥ぎ出しました。

流水紋を持つ青石は数種類ありますが、この石は最も色が薄く流紋が映えます。

この原石は弐代目玉作工人が下賜されたものを古式に則り攻めました。

肌は絹目として、深山の渓流を流れる水を目指しました。






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八、奴奈川甕覗硬玉紅入盒子
「日刀自乃石紅」
(ひとじのいしべに)
[全高35.0ミリ、最大径50.2ミリ、内径35.0ミリ]

奴奈川河床より下賜された硬玉から石製盒子を砥ぎ出しました。
 

硬玉故押圧剥離は一切使えないため、全工程を砥石を用いて現出させました。
技法は高品質蛇紋岩と同様に極めて特殊で、蹴轆轤とブリキ管錐を用い
硬玉岩塊をくりぬき容器状の形を生みます。

非常に緻密な硬玉のため砥ぎ口には鋭い角が立ち、砥石当たりが細かくなる程に
絹目の光を放ち、緻密な結晶組成と相まって金属光沢と金属音を奏でます。

「霊刀自乃石紅」同様に大王家女性の持つ紅入れ。
その甕覗色の「威」は暖かくたおやかな女性神の神籬なのかもしれません。







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ご興味のある方はお気軽に連絡ください。


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